もう10年くらい前ですが、20歳前後の頃に故藤沢周平氏の作品にハマりました。
現在でも蔵書としていくつかの作品を残していますし、今年購入したKindle Paperwhiteで購入し直している作品もあります。
藤沢周平氏の本を読むキッカケ
私が最初に藤沢周平氏の作品を読んだのは、2004年か2005年だったと思います。
母が藤沢周平氏の作品の大ファンだったため作家として名前は知っていましたが、それまで本を読んだことはありませんでした。
しかし2004年頃はちょうど藤沢周平氏の小説が、次々と映画化されていた時期でした。
その時に映画を見に行くのではなく、どうせなら原作を読んでみようと思ったのが始まりでした。
元から日本史が好きで特に戦国時代の大ファンで武士の世界には興味がありました。
それまでにも時代小説も故司馬遼太郎氏や故吉川英治氏の作品など、それなりの数の作品を読んでいました。
それでも強く興味を持っていたのは戦国時代から関ヶ原の合戦前後までの騒乱の時代であり、天下泰平の江戸時代の作品はほとんど読んだ事がありませんでした。
しかし最初に読んだ「蝉しぐれ」から、一気に藤沢作品の世界観の魅力にはまっていきました。
藤沢作品の魅力
私が根が理系人間であり文学はド素人ですが、藤沢作品を魅力(好きな理由)をお伝えします。
世界が目に浮かぶ
作品内の時間軸は、知る限りほとんどが江戸時代の物です。
しかし文中では、実際には見たことがない風景が目に浮かぶような表現がされています。
特に日常的な風景や場面が、分かり易い言葉遣いで書かれているためスッと作品の世界に入り込むことが出来ます。
そのため一度読み始めると、時間を忘れて作品にのめり込んでしまいます。
ほとんどの作品の主人公は庶民~下・中級武士
藤沢作品の主人公の多くは、職人や商品のような市民か下級~中級の武士です。
また上流階級の武士であっても、家の主役ではない次男以降の生まれだったり、元は下級の生まれで立身出世を果たした人などが主役です。
そのため自分のような普通の人が、もし江戸の時代に生きていたら「こういう生活なのでは?」と思わせてくれる妙な親近感があります。
フィクションと現実感のバランス
基本的に藤沢作品のほとんどはフィクション作品です。
頻繁に登場する海坂藩(うなさかはん)は庄内藩をモデルにしていると言われていますが、架空の江戸時代の藩です。
他にも作品内に登場する人物は、歴史上の著名な人物を除いて全て創作です。
秘剣シリーズに登場するような剣術の秘伝の技も当然ながら創作でしょう。
しかしそれらの創作も現実の歴史上の江戸時代という世界を壊さないような非現実さの範囲で設定されていて、現実と非現実で絶妙なバランスが取れています。
そのためどの作品も、実際にあったのではないか、起こり得たのではないかと思わせてくれます。
オススメする作品
好きな作品が多いため選ぶのは難しいですが、オススメを紹介します。
少しネタバレが含まれますのでご注意下さい。
まずは、定番の「蝉しぐれ」です。
映画化されて大ヒットしているので、ご存知の方も多いとは思います。
私も最初に読んだ作品ということもあり印象が深いです。
主人公である牧文四郎が、少年から大人へと成長する青春時代から青年時代を中心に書かれています。
突然の父親の切腹から、罪人の子としての少年の心の葛藤や叶わぬ恋、剣術へ打ち込む姿。
その後も藩の陰謀によって事件に巻き込まれる流れなど内容も豊富かつ濃いので、やはり藤沢作品の最高傑作の1つだと思います。
次が、「風の果て(上・下)」です。
こちらは上下巻の2部作です。
NHKでテレビドラマ化された事もあるので、ご存知の方もいるかもしれません。
主人公である上村隼太が大人になっていく様や、その後の立身出世の様子が描かれています。
子供の時にとても仲の良かった旧友と段々と疎遠になったり、果ては敵同士として戦う羽目になる切なさ。
個人的には「蝉しぐれ」以上に好きな作品です。
次は、「静かな木」です。
この本は、短編が3作収録された短編集です。
本の題名になっている「静かな木」の他に「岡安家の犬」「偉丈夫」の計3作です。
短編とは言え、どれも少し読み応えのあるくらいの長さで世界観にしっかりと入り込むことが出来ます。
私は「偉丈夫」が特に好きです。
短い話で、藤沢作品の雰囲気を知るにはちょうど良いかもしれません。
藤沢作品は他の短編集も秀作揃いです。
まとめ
以上が、藤沢周平氏の作品の魅力とオススメについてお話しました。
私の同年代(30代前半)で言うと、時代小説を読む人は皆無に等しいです。
少なくとも私の周りでは出会ったことが、ほとんどありません。
そのためもっと若い世代にも歴史小説の魅力を知ってほしいと思って今日は紹介しました。
私は現代文学も読みますが、やはりSFや歴史小説の方が好みです。
仮想世界に浸るという意味では、SF好きの人に歴史小説は合うと思いますよ。
旅行中の時間潰しの読書には時間が早く過ぎるため、娯楽作品がオススメです。
その中でも私は藤沢周平氏の小説を推薦します。
是非、機内で読む本としてでもお試しください。
以上です。
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